著者
飯島 輝久
出版者
和歌山県立伊都高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2015

本研究では物理の定性及び定量的理解両方の定着を目的としたデジタル教科書を作成し、それを用いた授業をネット上において公開し、その後、これらを用いた授業により従来型の一斉授業から、アクティブラーニングへ授業形態の転換を行い、その効果について検証を行った。研究の対象学年を3年生とし、4月から6月までの『電磁気学』の分野でデジタル教科書を作成した。デジタル教科書に含む内容としては以下の4点を掲載することとした。1. 物理における基本的な内容2. 教科書の行間に相当する補足説明3. 定性・定量的理解を助けるための問題とその解答4. 1・2・3の補足となるマルチメディアコンテンツ8月の夏季補習を用いて、デジタル教科書を用いた授業を撮影し、既に運用している自宅サーバに動画を公開した。9月からは、公開された授業動画およびデジタル教科書を用いて、生徒たちが自宅で予習をおこない、教室では、授業動画で得た知識の定着およびその活用に重点をおいた『反転学習型のアクティブラーニング』を行った。授業については、本校は学習院大学教授佐藤学氏の提案する『学びの共同体』に取り組んでいるため、グループでの活動が中心となった。動画を予習として見ているため、校内での授業では、その単元で問題となる現象についての議論や、問題練習といった理解の定着についての活動をおこなうことができ、反転型のアクティブラーニングは、生徒にとっては理解の助けになったと考えている。3月におこなった生徒アンケートでは、授業の動画が公開されていることで、予習だけでなく復習に取り組みやすかった等の意見があり、独自のデジタル教科書及び動画公開による学習効果は充分にみられた。