著者
井上 徹彦 池川 誠司 飯村 成美
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.83, no.8, pp.884-890, 2008 (Released:2011-01-20)

球根専用緩効性肥料を用いた施肥法。富山県は冬季に積雪があり、チューリップに適した地温と湿度を保つことができることや、球根生産に最適な砂壌土水田に恵まれていること、ウイルスを伝搬するアブラムシの飛来が暖地と比べて遅いこと、また、水田の用排水路が完備されているため畝間灌水と徹底した排水が可能であることなど栽培条件が整っており、1993年にはチューリップ球根出荷球数が6118万球まで増加した。しかし、1988年以降オランダ産球根の隔離検疫制度の緩和により安価な球根が大量に輸入され、国内での球根単価が低迷していること、さらに近年は土壌伝染性病害などによる単収減にも悩まされていることから、2005年には出荷球数は2720万球にまで減少した。そのような状況の中、球根生産者は農業普及指導センターや富山県花卉球根農業協同組合などの指導機関による栽培技術や経営のアドバイスを取り入れるなどして、さらなる省力・低コスト栽培や新たな栽培技術の導入による経営の安定化を図っている。野菜花き試験場(現園芸研究所)では栽培技術の改善などによる品質・単収向上技術の開発に取り組んでいるが、ここでは新たな施肥体系技術について紹介する。