著者
大西 晃 林 友直 小林 康徳 飯田 亨 松藤 幸男 加藤 誠一 町田 恒雄 OHNISHI Akira HAYASHI Tomonao KOBAYASHI Yasunori IIDA Toru MATSUFUJI Yukio KATOH Seiichi MACHIDA Tsuneo
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集: ハレー彗星探査計画報告 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.57-64, 1987-03

惑星間探査機「さきがけ」, 「すいせい」は, 地球周回衛星の様にアルベドあるいは地球からの赤外放射といった煩わしい熱入力がない代りに, 両探査機がハレーに遭遇するまでに受ける太陽光の受光強度は最高「さきがけ」で周回衛星の約1.5倍, 「すいせい」で約2倍となり, 熱的に変化量の大きい外部環境に曝される。したがって, この様な熱環境の変化に対処するため探査機の熱設計は外部から探査機内部への伝導および放射による熱移動を最小限に抑えるべく, 構体部材や熱制御材など設計上の工夫がなされている。一方, 内部機器の発熱に対してはプラットフォームの裏面に取付けられた4台のサーマルルーバを用いて宇宙空間へ放熱する方法が採用され, 基本的には受動型と能動型を併用した熱制御方法が用いられている。現在まで取得された飛翔データから探査機の温度は予測結果と良く一致しており, また, 「すいせい」の主観測機器であるハレー彗星紫外線撮像装置 (UVI) の CCD センサも予想どうりに冷却され, 有効な観測結果を得ている。この意味で, 探査機の熱設計は満足すべきものであったということができる。ここでは, 探査機の熱設計の概念と飛翔データの解析結果について報告する。