著者
飯田 紀彦 井上 澄江 畑 律江 増田 浩二
出版者
関西大学社会学部
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.87-111, 2001-10-31

「未来の高齢者」である若年者を調査することによって、任意後見制度をより有効に活用するための必要な情報を得る目的で意識調査を行った。対象者は、K大学の学生で男性79名(平均年齢22歳)、女性70名(平均年齢22歳)であった。われわれの先行研究である中高年齢群(平均年齢男性67歳、女性60歳)の任意後見制度に関する意識調査のデータを比較対照とした。任意後見制度の利用に否定的な回答をした人は、学生群3.4%、中高年齢群16.9%であった。学生群は、任意後見制度の利用の可能性を考えている人が多いことが分かった。痴呆症の病名告知を希望する人は、学生群は82%、中高年齢群は87%であり、学生群も大多数が告知を希望していることが分かった。学生群で、将来の仕事として成年後見人を考えている人は男性4%、女性10%であった。任意後見制度の利用は、今後増加することが予想され、制度のさらなる充実が望まれる。