著者
首藤 正彦
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-21-00105, (Released:2023-02-03)

2018年7月の西日本豪雨による土砂崩れや洪水により,愛媛県の柑橘栽培は大きな被害を受けた.被害は柑橘の樹体の流失に止まらず,農道,モノレール運搬車,潅水設備などの農業インフラにも及んだ.災害から3年が経過し,小中規模の土砂崩れの復旧工事が進み,苗木の新植も始まっている.しかし,植付け後,収穫が始まるのは5年,もとの収量に戻るには10年を要する.大規模な土砂崩れの復旧工事はまだ始まっておらず,完成は10年後の予定だが,この間の農業収入の確保が課題となっている.それでも,若い農家のグループでは将来の復旧工事の完了に向けて,苗木の育成を始めている.