- 著者
-
香川 スミ子
- 出版者
- 日本ロービジョン学会
- 雑誌
- 日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集 第8回日本ロービジョン学会学術総会/第16回視覚障害リハビリテーション研究発表大会 合同会議
- 巻号頁・発行日
- pp.64, 2007 (Released:2008-07-07)
研究の目的:盲乳幼児における「物・玩具を使った遊び」の発達の様相を明らかにする。
研究の方法:視力が手動弁以下で視覚以外の身体障害がなく、知的発達が5か月から14か月時の範囲にある先天性盲乳幼児(延べ62名)を対象として、家庭における遊び内容を調査した。対象児の知的発達状態は4つの段階(1:5か月、2:8か月、3:11か月、4:14か月)に分類した。
結果と考察:対象児に見られた遊び内容は、各発達段階に至って初めて出現する遊び内容のみを取り上げて整理した。その結果、段階1では、触れた物を握り、振る、叩く行動と、触れた物を触っているという2つのカテゴリーの遊びが発現していた。段階2では、手の届く範囲の物に手を伸ばし、触る、振る、叩く行動を繰り返しており、手や腕を伸ばせば対象物があることの認知段階にある遊び内容となっていた。また、ある場所から物を取り、放し、また取る遊び、持った物で叩く遊びも発現し、新しい音や手に伝わる感覚を続行させようとする遊び内容であった。段階3では、テレビ等からの音楽、洗濯機の回る音に近づき聴き入ったりなどの確かな音源定位が確立した遊びが出現していた。
段階4では、好きな遊びするために目的的に移動し、流し台の扉の開け閉め、便座のふたの開け閉めなどの遊びが発現していた。また、皿回しなど音を創造し、音の時間的な変化を聴くなどの遊びが出現していた。以上、視覚障害乳幼児に発現する遊び内容は、視覚に障害がない乳幼児の遊びの様相と必ずしも一致しないが、遊びを通して獲得する認知発達の様相は障害がない乳幼児と異ならないことが推測された。