著者
香川 眞 佐藤 克繁 八田 正信 天野 栄一
出版者
流通経済大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

北海道ダウン・ザ・テッシ-オ-ペツ調査では、以下の点が観測された。当初、数人の仲間から始まった私的イベントが、その拡大に連れ、公的な色彩を帯び、全国レベルに拡大した。1998年度に全日本大会に成長し、2002年度には北海道新聞の支援の下、4日間で一気に100マイルを下る大規模なイベントに変化してきた。出発は手づくりカナディアンカヌーを製作した仲間という人間関係から始まり、流域地域に戻ってのカヌークラブ設立、個別カヌークラブの長が所属する広域カヌークラブ北海道カナディアンカヌークラブという構造から、当初の人間関係に基づく内実が失われ、現在まさにイベント集団分裂とイベント自体の再構成についての問い直しをしている。また、イベントが大規模になるにつれて、イベント集団と参加者の間に開きが出てきており、イベント集団の一部にはイベント自体の開催を危ぶむ事まで出てきている。これを回避するために、これまでの土着な人間関係のみに基づく集団から、NPO組織へ移行することにより、土着な関係からより強固な組織作りを目指している。また、高齢者・障害者の研究からは、養護学校の学生の修学旅行や、地元NPO法人の試みである「障害者のスポーツフェスティバル」、「障害者の海外旅行」を題材に、高齢者、障害者と健常者間の人間関係、とくに「生活への援助」の視点を超え、「遊びへの援助」の視点が、介助をする健常者、またイベント開催者側に芽生えつつある。