著者
尾上 洋介 馬場 一貴 小山田 耕二
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.38, no.151, pp.23-27, 2018 (Released:2019-10-01)
参考文献数
19

近年,査読付き論文誌への科学論文の投稿件数が増加したことで,研究者の論文査読の負担が増大している.査読負担の増大は,論文掲載の遅れや査読の質の低下を招いており,これまで科学を支えてきた査読制度の崩壊も危惧されている.そのため,研究者の査読負担を軽減するための査読支援技術の開発は急務である.本研究では,人工知能技術を用いた査読支援について検討する。論文の採否を分ける要因として論文の文章構造に着目し,科学論文の文章構造を数値的に処理するために,Doc2Vecを用いた文章ベクトルを算出した.国際論文誌Journal of Visualizationに投稿された不再録も含めた591件の論文アブストラクトを対象に,再録・不再録論文の文章構造の差異を調査した.さらに,文章構造に基づいて論文の採否判定の分類モデルを作成し,論文のアブストラクトのみでも75%の精度で採否判定ができることが確認された.