著者
馬場 秀子 桑原 伸夫 岩下 嘉光
出版者
(社)日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.99-106, 1997-04-28 (Released:2010-07-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

天蚕胚の初期から中期における胚発育過程での外部形態の変化を走査型電子顕微鏡で観察した。各発育段階の微細構造から頭部形態形成の特性を明らかにした。胚は産卵後, 12時間で頭摺と尾褶の分極化が認められた。36時間には, 大腮, 小腮及び下唇原基の分化が進行し,下 咽頭の形成が始まった。頭葉の両側前端に視葉域が認められた。48時間では, 上唇や触角原基の発達が顕著となり, 60時間後には胚の短縮が始まった。72時間後には反転期となり, 単眼原基が認められ, 反転完了後に下咽頭は消失し, 触角, 小腮肢原基が上を向き, 頭・胸・腹部の境界が明瞭となった。さらに毛瘤形成, 剛毛形成を経て, 産卵後, 約10日 (240時間) で幼虫の外部形態形成は完了した。