著者
飯塚 益生 馬来 忠道
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.628-632, 1986-05-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
9

胃アニサキス症2例の超音波検査を経験した.患者は36歳と29歳の女性で,ともに特徴ある画像を呈した.すなわち胃幽門前庭部から胃体下部にかけての全周性の壁肥厚像で,表面は平滑,内部エコーは低く均一で,粘膜面のエコーはやや高く認められたが各層は分離してみられなかった. 1例は水飲用と体位変換により内腔の開大を認め,壁の伸展性が十分保たれている所見をえたが,このことは悪性疾患との鑑別に有効であると思われた. 2例とも内視鏡検査で虫体を発見し,これを生検鉗子で摘出したことで症状は消失した.1例に1カ月後再度超音波検査を行ったところ,胃壁が正常の厚さにもどっていた.このことより,超音波検査はアニサキス症の治癒の判定にも有効であると思われた.