- 著者
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曽 丹
馮 雪梅
厳 清華
- 出版者
- 嘉悦大学研究論集編集委員会
- 雑誌
- 嘉悦大学研究論集 = Kaetsu University research review (ISSN:24322946)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.1, pp.61-74, 2016-10
東アジアの近代化にとって、西洋文明の導入が大きな役割を果たしたことはよく知られているが、中国と日本は近代化の初頭、西洋文明の圧倒的軍事力の下で、富国強兵のために、西洋に対抗する手段として、内容的に極めて似通ったスローガン「中体西用」と「和魂洋才」を提唱したにもかかわらず、その結果から見れば、日本は東アジアの諸国に先駆けて近代化を遂げたのにひきかえ、中国の近代化は著しく遅れていた。そこで、その深層にある原因について改めて検討し直す必要が生じていると思われる。 本稿では、まず「中体西用」と「和魂洋才」思想形成の原因分析の上に、その思想形成の過程と発展軌跡を浮き彫りにした。そして「中体西用」と「和魂洋才」思想の生まれた背景、具体的な内容、本質など幾つかの面から、両思想を比較しながら、両者の共通点と相違点について検討を行った上、近代化の過程において「中体西用」と「和魂洋才」の実際に果たされた効果の差異が生じた原因を探求してみた。