著者
吉廣 尚大 櫻谷 正明 高場 章宏 河村 夏生 筒井 徹 加藤 之紀 吉田 研一 橋本 佳浩
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.39-46, 2021-02-28 (Released:2021-02-28)
参考文献数
16

背景:ゾテピン(以下,ZTN)は糖尿病に使用できるが,集中治療室(以下,ICU)せん妄に使用した報告はない。目的:ICUせん妄患者にZTNとクエチアピン(以下,QUE)を比較し効果と安全性を評価すること。方法:単施設前向きコホート試験で,初回投与翌日せん妄症状改善と最大血糖値180mg/dL以上の患者割合を評価した。結果:20例を組み入れ, 11例をZTN群に割り付けた。ZTN群の9例が糖尿病であった。初回投与翌日せん妄症状改善の患者割合はZTN群で54.5%(n=6),QUE群で66.7%(n=6)であった(p=0.67)。内服後最大血糖値180mg/dL以上の患者割合は63.6%(n=7),66.7%(n=6)であった(p=1.00)。 結論:ZTNは有害事象を増やさずにQUEと同程度にせん妄症状を管理できることが示唆された。