著者
高橋 伸英 西澤 裕道 嶋田 五百里 福長 博 高塚 透
出版者
The Japan Institute of Energy
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.979-985, 2014

多種多様な廃棄物を含み高含水率の一般廃棄物を亜臨界状態で水熱処理することにより形状や性質の均一化を図り,その残渣をさらに熱分解ガス化することにより,高効率に合成ガスへと変換するプロセスを提案する。食品加工残渣,木くず,紙くず,稲わら,プラスチックから成る廃棄物試料を175℃,1.0 MPa の条件で水熱処理し,その水熱処理残渣をγ-Al<sub>2</sub>O<sub>3</sub> 粒子を触媒とし, 850℃で水蒸気ガス化した。試料の含水率を0,30,59%(質量基準)に変えてガス化を行った結果,含水率が高くなるほどガス化率は高くなり,最高で63%(炭素基準)となった。これより,高含水率の水熱処理残渣をそのままガス化に供給することにより,ガス化を促進できることが明らかとなった。また,一般廃棄物を構成する主な材料として,木くずの代表としてスギのおがくずを用い,廃プラスチックの代表としてポリエチレンビーズとポリスチレンを主成分とする食品トレーを用い,水熱処理がその後のガス化挙動に及ぼす影響を調査した。その結果,スギの場合は水熱処理により軽質な成分が一部分解し,その結果,ガス化時に難分解化し,ガス化率が低下することが示唆された。一方,水熱処理はプラスチック材料にはほとんど影響を及ぼさないことが明らかとなった。