著者
高山 真策 植松 聖陽 秋田 求
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.25-29, 2014

自然植生下に成育するイヌガヤを材料にして,光条件が成育とアルカロイド組成の特性におよぼす影響について検討した.イヌガヤは,光強度(相対値)が弱く,多くの場合太陽直射光の20 %以下の環境で成育していた.イヌガヤの成育には光強度(相対値)が影響しており,樹高と樹径は光強度(相対値)と正の相関があった.また,樹高と樹径との間には高い相関があった.環境の異なる2地域(静岡県富士郡と沼津市)のイヌガヤを分析した結果,光強度が弱い環境に成育する静岡県富士郡のイヌガヤにはHHTが多く,光強度が強い環境に成育する沼津市のイヌガヤにはHTが多かった.アルカロイドの組成に光が関与することが考えられたので,太陽直射光下に成育する樹木個体を選抜し,太陽直射光の照射下にある南側(高照度環境)と太陽光がさえぎられて散乱光が照射されている北側の枝(低照度環境)のアルカロイド組成を比較した結果,前者ではHT,後者ではHHTが多かった.