著者
高橋 正明 高山 英樹 山手 正彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.1-10, 1996-09-10 (Released:2017-07-25)
参考文献数
14

我が国の時刻表では、必要な情報をより得やすいものにすることと、新たな情報を収めるという相反する要求に対し、視覚伝達という視点から、様々なデザイン上の技術的回答が示された。ページ方式の採用と判型の定型化は、限られたスペースの中に情報を掲載するためのデザイン開発の誘因となった。ピクトグラムは、その代表的な例であり、我が国の時刻表では、限りある紙面の中で情報を速く分かりやすく伝達することを目的として早い時期から採用された。索引地図は、検索機能を優先した我が国独自の変形地図として、煩雑な文字情報だけでは得にくい細かな情報に、瞬時に到達させるという点において優れたデザイン上の工夫であった。また、視覚情報への置き換えが困難な文字による列車情報では、文字に微妙な変化を与えることによって見る情報としての要素が加えられた。この様に時刻表では、全体を通して「読む」から「見る」への一貫した提案が行われてきた。