著者
林 伸和 高岡 伊三夫 駒嵜 弘
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.600-606, 2022 (Released:2022-09-22)
参考文献数
11

過酸化ベンゾイル2.5%ローション(以下,BPO-L)の尋常性痤瘡患者に対する有効性および安全性をランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較多施設共同試験で検討した. 本試験では,12歳以上49歳以下の中等症の尋常性痤瘡患者を対象にBPO-Lまたはプラセボを1日1回洗顔後,顔面全体に12週間適量を塗布した. ランダム化された222例(BPO-L群109例,プラセボ群113例)に治験薬が塗布された.主要評価項目である治療開始12週後のベースラインからの総皮疹数(炎症性皮疹数および非炎症性皮疹数の合計皮疹数)の減少率の最小二乗平均値は,BPO-L群で63.0%,プラセボ群で26.5%であり,BPO-Lは有意に総皮疹数を減少させた(P < 0.0001) .副次評価項目である炎症性皮疹数および非炎症性皮疹数も有意に減少した(ともにP < 0.0001) .有害事象の発現割合は,BPO-L群29.4%,プラセボ群23.9%であり,治験薬と関連ありの有害事象の発現割合は,BPO-L群(11.9%)がプラセボ群(6.2%)よりも高かった.有害事象の多くは軽度で,治験薬塗布部位に発現しており,未回復の3例を除き,回復または軽快した.尋常性痤瘡患者に対するBPO-Lの忍容性は良好で,治療開始2週間後から総皮疹数の減少がみられたことから,BPO-Lは,これまでゲルのみであったBPO製剤の治療選択肢を拡充させ,尋常性痤瘡の早期かつ積極的な治療に貢献する薬剤の一つとなることが示唆された.試験登録番号 jRCT2031200251.