著者
高島 利幸 早野 剛 金山 保夫 岡崎 留美 片岡 辰雄 秋山 陽 村田 光明 山本 力 岩谷 高行 保坂 敏行 野本 敏秀
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.31, no.11, pp.647-650, 1978
被引用文献数
1

犬によるこう傷事故の発生原因を明らかにする目的で, 1975年4月1日から1976年3月31日までの366日間に都内で発生したこう傷事故2, 180件のうちの2, 164件と, 同期間内の主要な気象条件のうちの天気・日照時間・可照時間・気温・湿度との因果関係を追求したところつぎの結果を得た.<BR>1. 天気とこう傷事故発生との関係では, 雨あるいは雨模様の天気の日にはやや事故が減少する傾向がみられた. しかしほかの天気状況と比較して有意差は認められなかった.<BR>2. 日照時間ならびに湿度とこう傷事故との間には, 相関関係は認められなかった.<BR>3. 可照時間とこう傷事故との間には相関 (r=0.8638) が認められ, 両者がかなり密接な関係にあることが明らかとなった. また気温との間にも相関関係 (r=0.6514) が認められた.<BR>以上の結果から, 主要な気象条件のうちで可照時間および気温が犬を誘発して, こう傷事故の発生をもたらす要因となることがうかがえた.