著者
平岡 直樹 小池 政嗣 高木 由久
出版者
信州大学
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.25-35, 1998-09
被引用文献数
1

本研究は松本旧城下町を対象とし,歴史的住宅地の持つ空間構成の特徴を明らかにすることを目的とする。旧軽輩武家町の中から西町と堂町を事例地として選び,町並みの特徴を最も表出する道路から見える空間の構成を調査した。 その結果,伝統的な構成要素である門冠り,門柱,囲障,これらのセットバック,むくり破風等が特に強い相互関連をもって出現していることが明らかになった。そして,それらの代表的な素材や形状は,アカマツの門冠り,一間以上の高い石柱や木柱,高さ一間あまりの板塀,道路線から半間程度のセットバック,玄関上のむくり破風である。これらはそれぞれが歴史的な構成要素としてあらわれるだけでなく,組み合わされ,一つの格式を持った門構えとして出現することで,より一層旧武家町としての町並みの特徴をあらわしている。