著者
高村 哲郎
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.67-72, 2013-03-20 (Released:2019-04-25)
参考文献数
2

知的障害のある自閉症児の場合、行動のレパートリーの狭さから、教師の注目を得たい場合も、なんらかの意思表示の場合も、自傷・他傷など危険を伴う、チャレンジング行動を示す場合があるが、それは、その教師との関係でそれらの行動が繰り返されがちになっている、つまり誤学習が積み重なっていると考えられる場合が多い。本論文は、主担当者でなく、誤学習とも先入観とも無縁の立場を生かし、チャレンジング行動を頻発していた自閉症の高等部女子生徒に、短時間ながら「対立行動分化強化」を用いて適切な行動を導き、そこで得た変容の成果を当該児が属する作業班のみならず、学年・学級に波及させ、その後の学校生活に役立てることができた実践研究である。