著者
高柳 繁
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.372-379, 1991-12-26
被引用文献数
2

本研究の最終目標は、雑草と作物の光競争過程を数学的にモデル化し、シミュレーション操作を通して雑草害の早期診断法を開発することにある。本報では、その第一段階としてメヒシバとダイズを対象とし、それぞれの種の単植群落の成長・発育モデルをシステムダイナミックスの手法で策定した。モデル策定のための情報は、主として圃場試験および文献から収集した。モデルの妥当性の検証に用いた実測データは、モデル作成の際に情報を収集した試験成績以外の結果を用いた。実測値とシミュレーション値とは両種とも概ね良好に一致し、改良すべき点についても明らかにされた。
著者
佐合 隆一 高橋 宏和 高柳 繁
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.267-272, 2002-01-30
被引用文献数
1

雑草防除の適正化とコストの低減をはかるためには,雑草個体群の動態や埋土種子量・発生量などを把握することにより,雑草防除手段を選択するプログラムを作成することが重要となってきている。本研究は茨城県南地域で小型の一年生雑草が優占している水稲栽培水田で埋土種子数と雑草発生量を調査し,雑草の水稲に対する害が認められない埋土種子数のレベルを推定することを試みた。本調査方法では埋土種子数が深さ1.5cmあたりアゼナ類で1,500粒/m^2,カヤツリグサ類で200粒/m^2,一年生雑草全体では3,000粒/m^2を越えた場合には雑草の発生量を推定することができ,埋土種子からの本田での発生率は,アゼナ類で2.5%,カヤツリグサ類で4.9%,コナギで16.4%,一年生雑草全体では5.2%であった。また,雑草害が明確とならない雑草の発生量は埋土種子数が3,000粒/m^2以下であることを推定した。