著者
高梨 琢也
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.67-70, 2014 (Released:2014-01-31)
参考文献数
8

症例の概要:患者は61歳の女性.義歯での咀嚼困難を主訴に来院した.臼歯部の咬合支持は喪失しており,上顎前歯には軽度の動揺を認めた.インプラントでの咬合回復を検討したが,上顎欠損部は骨量が乏しくインプラント埋入が困難であった.下顎欠損部をインプラント,上顎欠損部を可撤性義歯にて補綴を行った.考察:治療終了後3年経過しているが,咬合状態,義歯の適合状態は良好に保たれている.上顎前歯は正中離開,フレアーアウト等認めず,初診時に認めた動揺は軽減しており,臼歯部の補綴が上顎前歯の負担軽減につながったと考えられた.結論:臼歯部咬合回復の結果,咀嚼障害の改善と上顎前歯の負担軽減が可能であった.