著者
高橋 邦丸
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.53-68, 2008

<p>本論文は,買収対価の支払手段の違いが経営者の裁量行動にどのような影響を及ぼすかについて考察を行っている.本論文では,1999年10月に施行された株式交換制度・移転制度後に株式交換およびTOB(現金取引)にてM&Aを行った298社(株式交換:買収企業123社,ターゲット企業80社,TOB:買収企業45社,ターゲット企業50社)をサンプルとして,株式交換比率決定日および買収アナウンス日前に利益増加型の利益調整を行っているかについて分析を行った.分析の結果,買収企業については株式交換を利用した企業のほうが交換比率決定日前の決算期に利益増加型の利益調整をしていることが明らかとなった.また,ターゲット企業についても一部統計的に有意でないものの買収企業と同様の結果が得られた.この結果から,株式交換比率を自社に有利なものにするために,経営者が利益増加型の利益調整を行っていることが示唆されている.</p>