著者
酒見 喜久雄 高橋 郁子 小笠原 摩耶 小松 和男
出版者
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.805-808, 1998-01-30
参考文献数
7

乳幼児の下気道炎の原因として重要なRSウイルス感染症の当地域での流行状況について報告した。秋田県南西部に位置する本荘市由利郡地域の基幹病院である当院では毎年50人前後のRSウイルス感染症の小児を診療している。1993年1月から1995年12月までの3年間に当科で診療したRSウイルス感染症の内, 本荘市由利郡在住の乳幼児を対象とした。RSウイルス感染症の診断はRSVテストパックで行った。全患者127人, 入院患者107人, 外来患者20人の男女比はそれぞれ69: 58, 60: 47, 9: 11で, 全患者数, 入院患者数共に男児に多かった。新生児が9人, 1か月児は15人であり, 1歳未満の乳児は110人, 1歳以上の幼児は17人であった。好発時期は冬季で12, 1月を併せて64人と過半数を占めた。当科外来患者数は本荘市及び由利郡共にそれぞれ年間2万人弱であり, RSウイルス感染症の患者数を調べると, 本荘市では70人, 由利郡では57人と市部で患者数が多かった。男児4人と女児2人が呼吸不全のため気管内挿管を要したが, 新生児3人 (内女児2人), 1か月男児3人であった。乳児期早期発症及び肺炎所見は呼吸不全に関与する危険因子と考えられた。