著者
高泉 喜昭 石田 宏代
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
聴能言語学研究 (ISSN:09128204)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.40-46, 1999-04-30 (Released:2009-11-18)
参考文献数
1

重症心身障害児施設に入所している重症心身障害児者(重症児者とする)に対し,より自発的な意思表出を目的に補助代替コミュニケーション(以下AAC)を導入した.その結果,彼らの生活やコミュニケーション行動に変化がみられ,AACは重症児者にとってQOLの視点から意義あるものと考えられた.しかしながら,AACの意義を実現していくためには重症児者個人の諸能力の検討だけでなく,援助する側のAACに対する知識,考え方など,重症児者をとりまく環境の面も含めた多角的,相互的視点に立った援助体制が必要と考えられた.特に施設という環境にあっては,重症児者のニーズをふまえ病棟職員を中心としたチームアプローチが重要な援助体制であると思われた.