著者
高濱 裕子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.51-59, 1993

幼児の"プラン共有"に, 保育者がどのような影響を与えているのかを検討した。幼稚園期2年間におけるごっこ遊びの発達は, 保育者と幼児との相互交渉を通して検討された。その際, 保育者と幼児とのコミュニケーションプロセスに, Bmnef (1983/1988) の"フオーマット"の概念を援用して, 分析的に捉えた。2名の幼児の遊びとそこに関わる1名の保育者の行動とは, 幼稚園において毎週1回, 2年間に渡って縦断的に親無された。プランの共有面から分析した結果, 幼稚園期のごっこ遊びには, 4段階の発達段階が見出された。また, 幼児の遊びの質的変化に対応させて, 保育者も段階的にフオーマットを変容させていることが明らかになった。これら5段階のフオーマットは, f1:仮想一オープン, f2:依頼一援助, f3:折衝一意味付与, f4:要請一協同解決, f5:表明一承認と命名された。フオーマットの概念は保育分析の枠組みとして十分に有効であることが示された。