- 著者
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岡本 一利
高瀬 進
- 出版者
- DEEP OCEAN WATER APPLICATION SOCIETY
- 雑誌
- 海洋深層水研究 (ISSN:13458477)
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.2, pp.1-6, 2006-12-25 (Released:2010-06-28)
- 参考文献数
- 13
海洋深層水 (以下, 深層水) を利用した養殖化の観点から, 通常, 淡水で養殖されるニジマスの飼育実験を行った.ふ化してから約9ヶ月間淡水で飼育された平均尾叉長8.6cm, 平均体重9.5gのニジマス111個体を, 深層水へ徐々に馴致しながら飼育を開始した.生残率の推移, 体色, 摂餌行動より, 飼育ニジマスは1週間で深層水に馴致したと判断した.飼育開始7日後までの生残数は31個体で, サイズ別生残率は, 尾叉長8cm未満が0%, 尾叉長8cm以上11cm未満が39.7%, 尾叉長11cm以上が100%であった.飼育開始330日後には9個体が生き残り, 平均尾叉長32.9cm, 平均体重628.6gで, 飼料効率は55.6%, 体色は銀色を呈し, 通常の淡水養殖の出荷サイズを超えるサイズまでの飼育に成功した.今回の飼育結果に基づき, 深層水でニジマスを養殖する場合の飼育開始から出荷目標サイズまでの所要日数と歩留まりについて推定した.海洋深層水の低温性, 清浄性, 高塩分により, 新タイプの商品の養殖生産が可能であることが示唆された.