著者
高田 一太郎
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.479-484, 1980-12-31

Cushing症候群13例(副腎腺腫6例,副腎過形成6例,副腎癌1例)における放射線学的検査を検討した。経静脈的腎盂撮影を施行した腺腫5例中4例に副腎部に一致して円型陰影をみとめた。副腎静脈撮影を行なった腺腫3例のうち2例では,tumor massを造影した。1例では直接腫瘤の造影は出来なかったが,他の検査との総合的結果から腺腫存在側が確定された。静脈撮影施行時に採血した血中cortisol測定では,左副腎静脈より採血可能であった腺腫例4例で,すべて直接,あるいは間接的に腫瘍存在側の診断が可能であった。^<131>I-adosterolによる副腎スキャンを施行した10例ですべて病因診断,ならびに腺腫存在側の診断が可能であったが,癌の診断はこれのみでは困難であった。