著者
高田 艶子 岩永 誠
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.49-55, 2014 (Released:2014-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

本研究は,認知症高齢者を対象として,補完代替医療 (CAM) としての音楽療法がその行動・心理症状 (behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD) のうちアパシーに与える効果を検証することを目的とした.平均年齢 85.9 歳の施設の認知症高齢者 20 名に,なじみの音楽による集団音楽療法を隔週で 8 ヶ月間,合計 10 回実施した.その結果,対象者全体では「情動反応」領域の歌唱,リズム,身体運動に有意な改善が認められ,「社会性」領域の集中力に改善傾向が認められた.アルツハイマー型ではリズム,集中力の改善および歌唱と参加意欲に改善傾向が認められたが,脳血管型では改善が認められなかった.このことから,音楽療法は認知症高齢者,特にアルツハイマー型のアパシーの側面に見られる BPSD 軽減に役立ち,QOL の向上に結びつくものと考えられ,薬物療法の補完代替医療法として有効であることが示唆された.