著者
大村 和也 高石 恵美子 川村 真
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.121-127, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
16

【緒言】体外式膜型人工肺(以下,ECMO)中のリハビリテーションは確固たるエビデンスはなく,当施設では症例ごとに模索しながら行っている。重症呼吸不全に対してECMO 導入後早期から積極的に理学療法を開始し,良好な転帰に寄与したと考えられた2 症例を報告する。【症例1】76 歳男性,心不全と肺炎の診断でVV-ECMO 導入となった。31 日間のECMO 管理中,四肢体幹の筋力トレーニングを集中的に行った結果,身体機能を落とさずECMO 離脱翌日には端座位が可能となった。【症例2】73 歳男性,肺炎の診断でVV-ECMO 導入となった。10 日間のECMO 管理中,筋力トレーニングに加え,端座位まで行った。離脱翌日には,立位・歩行が可能となった。【結論】ECMO 管理下であっても早期から理学療法を行うことで,身体機能の維持につながったと考える。ECMO 下理学療法は安全に行える可能性はあるが,適応や方法などさらなる検討が必要である。