著者
高見 葉津
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
コミュニケーション障害学 (ISSN:13478451)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.102-110, 2007-08-30 (Released:2011-04-13)
参考文献数
27

わが国における食べることが困難な障害児への言語聴覚士(以下STと略す)の関わりについて歴史的経過を概説し,STが実践する支援についての考え方や方法について知見を述べた.支援を実践する際に大切なことは,まずは対象児の主たる基礎疾患によって発達上にみられる障害の特性を理解することである.そして出現する食べることに関する多様な困難性を子どもの全体像を理解した上で分析し,子どものライフサイクルを見据えながら養育者や家庭状況を考慮して,各ライフステージに必要な支援を実践する.子どもへのアプローチは,摂食・嚥下に関する感覚運動の正常発達を参考にしながら,子どもにみられる問題に対して仮説を立て,治療的アプローチを行い,そのアプローチの妥当性を検証しながら進める.そこには,STの独創性や工夫がなされることが望まれる.特にSTとしては,食べることはコミュニケーションや認知の発達に関連することにも注目していく必要がある.