著者
高野 慎二郎 佃 達哉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.602-605, 2014-12-20 (Released:2017-06-16)

美しい光沢を発する金は,古来より装飾品等に用いられるなど我々にとって身近な金属である。有機配位子と呼ばれる分子によって表面を修飾することで,1ナノメートル程度の大きさの超微粒子(金クラスター)を安定化合物として合成することができる。これらの配位子保護金クラスターの構造を調べると,13個の金原子が「超原子」と呼ばれる正二十面体形の基本構造体を形成することが明らかになった。さらに,2つの金超原子が様々な様式で結合した双二十面体形の「超原子分子」も合成されている。本稿では,これら金原子の集団が示すナノの世界の美を紹介する。口絵30ページ参照。