著者
住田 亙 渡辺 芳夫 高須 英見
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.93-98, 2013 (Released:2014-03-03)
参考文献数
6

【背景】電解質異常のため経静脈的な補充(DIV)が必要な腸管機能不全(IF)の症例で,低カリウム(K)血症の原因がナトリウム(Na)とマグネシウム(Mg)の欠乏と推測された症例を報告する.【症例】症例1 は20 歳女性.トライツ靭帯から70cm の空腸が経肛門にプルスルーされている.症例2 は10 歳男児.残存小腸は50cm で,回盲弁は無く上行結腸より肛門側が残存.ともに経口でカロリーは摂取できるが,低K 血症のためDIV に依存していた.尿中Na 排泄の抑制からNa 欠乏を疑い,Na を補給した.また低Mg 血症を認め,Mg を補給した.低K 血症は改善し,症例1 はDIV での電解質投与量を漸減中で,症例2 はDIVから離脱できた.【考察】報告症例の低K 血症の原因はNa とMg の欠乏であった.電解質異常でDIV 依存となっているIF には,検査上低下している電解質の補給では改善されない症例もあり,注意が必要である.