著者
髙木 美輝 宮崎 晶子
出版者
学校法人 日本歯科大学東京短期大学
雑誌
日本口腔保健学雑誌 (ISSN:24347108)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.72-78, 2019 (Released:2020-01-24)
参考文献数
14

プラーク除去効果に大きな影響を与える因子として,歯ブラシ形態,ブラッシング圧,ブラッシング方法などが考えられる.本研究では刷毛部形態の異なった歯ブラシ,ブラッシング圧およびブラッシング方法の条件を変化させ,プラーク除去率について比較検討を行った.歯ブラシ形態は平型,ドーム型,山切り型の3種類とし,下顎左側第一大臼歯に人工プラークを塗布し,実験を行った.刷掃試験機を用い,スクラビング法とバス法で20 mmのストローク,150 gf,200 gf,250 gfのブラッシング圧で5ストロークの清掃を行い,プラーク除去率を求めた.スクラビング法では150 gf,200 gfのブラッシング圧において山切り型歯ブラシが他の歯ブラシと比較してプラーク除去率が高かった.平型歯ブラシは,ブラッシング圧を高くするほど刷毛が均等に広がり,歯面との接触面積が大きくなりプラーク除去率が高くなった.バス法ではブラッシング圧を200 gf,250 gfにしたとき山切り型歯ブラシが最もプラーク除去率が高かった.低いブラッシング圧では山切り型の毛束が広がらず刷毛と歯面の接触面積が小さくなりプラーク除去率が低くなったと考える.以上のことから山切り型がプラーク除去には有効であると考える.しかし山切り型では,ブラッシング方法やブラッシング圧によってはプラーク除去率が大きく影響を受けるため,指導の際は細かな指導が必要であると考える.