- 著者
-
髙栁 明子
三品 美夏
堀江 和香
渡邊 俊文
- 出版者
- 公益社団法人 日本獣医師会
- 雑誌
- 日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.11, pp.657-664, 2020-11-20 (Released:2020-12-20)
- 参考文献数
- 26
麻布大学附属動物病院腎泌尿器科において,尿管結石による尿管閉塞と診断された猫117例(143尿管)に対して行われた外科手術における合併症について検討を行った.術後再手術を要する合併症が最も少なかったのは尿管切開術の4.0%であり,その他尿管膀胱吻術27.1%,尿管ステント設置術34.6%,SUB設置術37.5%であった.いずれの手技においても術後クレアチニン値は有意に低下した.周術期死亡率は1.8%であり,過去の報告と比較して低かった.術前に実施した腎瘻設置術は,高窒素血症が重度で長時間の麻酔リスクの高い症例の安定化や閉塞解除後の腎機能を推測するうえで有用であった.猫の尿管結石は個々の病態がさまざまであり,外科療法における明確な治療方針は確立していないことから,治療にはすべての手技を選択できる熟練した外科医による対応が望ましいと考えられた.