著者
倉岡 有美子 大重 育美 姫野 稔子 髙橋 清美
出版者
日本赤十字看護学会
雑誌
日本赤十字看護学会誌 (ISSN:13461346)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.81-87, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
13

A大学の4年生対象の看護技術演習に,看護実践能力の向上を目指して,シミュレーション学習と結びつけたOSCEを導入した.本稿の目的は,本演習科目について,科目の実践内容と評価を記述することである.本演習科目の学習目的は,看護職者として必要な知識・技術等の能力が身についているか客観的に評価するとともに,自らの課題解決に向けて取り組むことであった.シミュレーション学習を実施した結果,90%以上の学生が「十分できる」と回答した項目は19項目中16項目であった.また,評価表の自由記載欄の記述内容より,学生は自分の実力を見直し,卒業までに克服すべき課題を明確にしていた.OSCEを実施した結果,60点満点で平均45.4点(75.7%)であった.本演習科目は,学生の看護実践能力の向上を促進できたと考える.一方で,シミュレーション学習とOSCEを結びつけることによる学習効果を,より高められるような工夫が必要であることが示唆された.