著者
谷本 真理子 髙橋 良幸 服部 智子 田所 良之 坂本 明子 須藤 麻衣 正木 治恵
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.108-115, 2015 (Released:2015-04-08)
参考文献数
14
被引用文献数
2

本研究は,一般病院における非がん疾患患者に対するエンド・オブ・ライフケア実践を熟練看護師の実践知から明らかにした.7 名の慢性疾患看護専門看護師の実践事例のインタビューから質的統合法(KJ 法)を用いて最終ラベルを抽出した.熟練看護師は,患者の生き方の意思決定を支える関わりと,患者家族の生き方に沿う関わりを,状態悪化の過程にある患者の自尊感情の回復,満足感,納得を指標に定めていた.一般病院では患者の苦痛対応策が不十分であることや,多職種とのケアの合意や他施設とのケア継続は困難を伴うが,熟練看護師は患者の意向を日々捉えながら,家族や地域ケア体制に患者の意向を浸透させる調整を行っていた.治療の場でのエンド・オブ・ライフケア実践では,家族,医療者も共に了解しながら患者を支え続けることができる支持的環境,診断初期より関わる医療者の意識向上と患者の意思決定を支える支援技術の向上が必要である.