著者
水田 拓 鳥飼 久裕 石田 健
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.91-97, 2009-05-01 (Released:2009-05-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

奄美大島の龍郷町市里原地区においてアマミヤマシギの夜間センサスを一年間行い,道路に出現する個体の数に影響を与える要因を調査した.本種の出現個体数は,繁殖期(2~8月)に多く,非繁殖期(9~1月)には少なかった.それぞれの時期において,月の明るさ,雲量,風速,気温,調査時間帯のうち,どの要因が出現個体数に影響を与えているかについて一般化線形モデルとモデル選択を用いて解析した.その結果,繁殖期,非繁殖期とも,月の明るい(月齢が15に近い)夜に本種が多く道路上に出現しているということがわかった.これは,本種が道路上で視覚を用いた活動をしているためではないかと推察される.本研究により,夜の道路に出現するアマミヤマシギの個体数から好適生息環境や個体数の推移などを調べる場合は,月齢や天候を考慮する必要があることが示唆された.