著者
鵜沼 昂 村田 文絵
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.119-125, 2012-02-29

2005-2009年の5年間の気象庁降雨レーダー及び気象庁メソ数値予報モデルの高知市上空850hPa面における風を用いて,閾値を30mm/hとした四国地方における降水の風向別頻度分布を作成した.次にその頻度が高い地域において30mm/h以上の降水が2時間以上持続する降水系のうち線状を成すものを停滞性の線状降水帯として抽出した.その結果,低気圧や前線の影響下においてS或いはSW風時に特定の場所に高頻度で発生する南西-北東或いは西南西-東北東の走向をもつ3本のラインを抽出した.このうち南西-北東の走向をもつものは窪川-高知-繁藤ラインと佐喜浜-日和佐ラインでそれぞれ14例と9例みられた.また西南西-東北東の走向をもつものは安芸-魚梁瀬ラインで6例みられた.その他台風に伴うSE風時に現れやすい南-北の走向をもって室戸岬から北に伸びるラインを3例抽出した.