著者
鶴見 武道
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.19-28, 2008-11-01

龍山村森林組合は,昭和53年に林業新規就業者の確保に乗り出し,研修体制を整備してきた。本論文では,平成10年度までに参入した林業新規就業者83人を対象に聞き取り調査を実施し,出身地と現住地および現在の職業等を把握した。これらデータから,出身地-現就業地-現職業の組み合わせで新規就業者を分類し,それぞれの特徴を分析した。その結果,龍山村森林組合在職者は指導班加入者の3分の1程度にとどまるが,林業への転出者を合わせた林業定着率は6割弱に達している。林業定着率は近隣地域で高く,その他地域,龍山村の順である。ただ,龍山村出身の非林業就業者も,役場等地域社会経済の枢要部分に転職し,地域コミュニティへの影響は大きい。その他地域では,在職率が低いものの林業定着率は標準的で,強い転出傾向がみられる。この要因として,専門知識と技術を活かして自己実現を図ろうとする欲求が強いことが推測される。また,林業転出先が出身地であるケースが多く,指導班での研修成果を地元の森林組合や林業経営に活かした結果も反映されている。