著者
鷲尾 圭司
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.202-203, 2015-04-20 (Released:2017-06-16)

和食がユネスコの世界文化遺産に登録されたが,わが国の風土と文化を基礎として育まれてきた食文化が健康面や環境との調和の観点から評価されたものである。米を主食として野菜や魚を副菜とした献立は地域性や季節性を織り込み,芸術性も備えた知恵と洗練の結晶ともいえるだろう。その中でも,魚など水産物の利用はわが国ならではの特徴を発揮している。本稿では,料理の基礎となる出汁,健康面とかかわりの深い脂肪,鮮度にかかわる技法を取り上げ,水産物利用にかかわる化学の役割について述べる。