著者
柴 和宏 中谷 浩 鷺岡 雅
出版者
富山県林業技術センター
雑誌
富山県林業技術センタ-研究報告 (ISSN:09150013)
巻号頁・発行日
no.16, pp.24-31, 2003-03

シベリア産カラマツによる強化LVLの製造方法を検討するとともに、木質構造での利用展開を図るため、強化LVLの寸法安定性、強度性能(特に曲げ、釘に対するめりこみ)について検討した。結果は以下のとおりである。1)ロータリー単板への含浸用フェノール樹脂水溶液の注入について検討したところ、浸せき処理では短時間で十分な浸透率は得られないが、減圧加圧処理では木材組織内への樹脂液の浸透率が高まり、効果的な樹脂含浸方法であると考えられた。2)フェノール樹脂含浸された強化LVL(圧縮率約30%)の寸法安定性は良好であり、通常のLVLと同程度であった。3)強化LVLの曲げ強度性能は密度に比例して増加し、単板の継ぎ目がない場合、密度1.2g/cm3のレベルでは、曲げヤング係数22.0kN/mm2、曲げ強さ142.5N/mm2に達した。また、直交層が存在する場合の強度低減についても高い精度で推定することができた。4)強化LVLの釘に対するめりこみ性能は、密度に比例して増加した。また直交層の挿入により最大面圧応力が大きくなるとともに均一性も向上した。