著者
西村 正史
出版者
富山県林業技術センター
雑誌
富山県林業技術センタ-研究報告 (ISSN:09150013)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-6, 2003-03

1973〜1975年および1997〜2002年の9年間の調査データから、本県におけるマツノマダラカミキリ成虫の脱出消長の特徴を解析した。脱出成虫の性比は0.4〜0.5であった。本県の脱出開始日、10%脱出日、50%脱出日および90%脱出日の平均値は、それぞれ6月16日、6月23日、7月4日、7月15日、7月23日であった。越冬幼虫の休眠覚醒時期は2月15日、発育零点は11℃であるとして求めた有効積算温度の平均値は504日度であった。脱出開始日、10%脱出日、50%脱出日の予察を試みたが、実用的な予察式は得られなかった。
著者
平 英彰 嘉戸 昭夫
出版者
富山県林業技術センター
雑誌
富山県林業技術センタ-研究報告 (ISSN:09150013)
巻号頁・発行日
no.8, pp.19-23, 1994-12

1984年1月23日午前8時10分頃、杉の樹冠上部におわんをかぶせたような雪塊が発達していた。そして、それが約9日間保持され、2月1日その雪塊がとけて落ちたときに梢端が折れていることが確認された。樹幹上部に異常な雪塊が発達したときの降雪条件は、気温がプラスからマイナスに変化し、その間に約23cmの降雪があった。その後、気温は低温下で推移した。樹幹の変形過程を観察すると、冠雪が発達していく過程で梢端部は着雪によって大きく傾き、傾いた幹にさらに雪が積もって梢端部は下垂し、梢端部についている雪塊と下部の雪塊が融合し、梢端部は折りたたまれるような状態で大きな雪塊の中に埋もれた。その後、低温が続いたため、新雪がしまり雪に変化し、その時の雪の収縮に伴って梢端が折れたものと推定される。
著者
柴 和宏 中谷 浩 鷺岡 雅
出版者
富山県林業技術センター
雑誌
富山県林業技術センタ-研究報告 (ISSN:09150013)
巻号頁・発行日
no.16, pp.24-31, 2003-03

シベリア産カラマツによる強化LVLの製造方法を検討するとともに、木質構造での利用展開を図るため、強化LVLの寸法安定性、強度性能(特に曲げ、釘に対するめりこみ)について検討した。結果は以下のとおりである。1)ロータリー単板への含浸用フェノール樹脂水溶液の注入について検討したところ、浸せき処理では短時間で十分な浸透率は得られないが、減圧加圧処理では木材組織内への樹脂液の浸透率が高まり、効果的な樹脂含浸方法であると考えられた。2)フェノール樹脂含浸された強化LVL(圧縮率約30%)の寸法安定性は良好であり、通常のLVLと同程度であった。3)強化LVLの曲げ強度性能は密度に比例して増加し、単板の継ぎ目がない場合、密度1.2g/cm3のレベルでは、曲げヤング係数22.0kN/mm2、曲げ強さ142.5N/mm2に達した。また、直交層が存在する場合の強度低減についても高い精度で推定することができた。4)強化LVLの釘に対するめりこみ性能は、密度に比例して増加した。また直交層の挿入により最大面圧応力が大きくなるとともに均一性も向上した。