著者
浦野 幸子 増田 友美 小松原 衣代 今村 雄二 鹿内 晶子 北村 祥子
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.G0952-G0952, 2006

【はじめに】近年介護保険導入以降、介護サービス事業所が増え続けている。当社は平成13年に訪問リハ、平成15年には通所サービスの提供を始めた。過去4年間に渡る経験の中で賠償責任保険の対象となった事例は3件である。その反省点等を踏まえ、在宅サービス提供現場における事故後対応マニュアルの第一報として述べる。<BR>【事例紹介】事例1:平成14年9月、訪問リハビリ中RAの女性、腹臥位にてリラクゼーション開始後肋骨に疼痛出現。翌日受診し肋骨骨折と診断される。示談まで1ヶ月。事例2:平成15年11月、訪問リハビリ中、脳梗塞左片麻痺の女性、SHB使用し独歩可能。裸足歩行を希望され、試行したところ内反出現し内外果骨折。翌日受診し安静加療で2~3週間の自宅療養となる。示談まで半年。事例3:平成17年5月、通所介護施設内、脳腫瘍摘出後両不全片麻痺の女性、右T字杖監視歩行レベル。監視下において起立し歩行開始直後、右側へバランスを崩し転倒。殿部・後頭部打撲。脳外科は異常なし。翌日、整形外科受診し坐骨骨折と診断。示談まで3ヶ月。<BR>【対応マニュアル】(1)事故の処置後、担当者は、家族・管理者へ連絡。事故状況の客観的な事実確認をし謝罪。(2)当日戻り次第、ケアマネジャー・主治医へ連絡。また本人へ身体状態の確認や謝罪の為、再度電話連絡。(3)翌日は管理者が訪問し、謝罪・事故状況の事実確認・受診結果と治療方針の確認・補償の説明など行う。担当者は身体の経過確認、見舞い目的で電話連絡。(4)1週間以内には、再度管理者が訪問し謝罪・治療経過・費用の確認・保険会社、所轄保健福祉事務所、事業所所在地の市町村福祉課、当事者在住の市町村福祉課へ事故報告書の提出をする。(5)月1回管理者は、訪問し身体の見舞いや費用の支払い等を行う。(6)それ以外は担当者と連携をとり7日以上期間を経過することなく電話や訪問にて接点を持つことが望ましい。(7)完治の状況確認をし、示談書を交わし終了。<BR>【考察】振り返ると日頃の利用者との信頼関係は大きな影響があると考えられる。事例2においては、示談までに6ヶ月の期間を要した。これは、担当者と管理者との連絡ミスによる利用者との関係が損なわれた結果である。事故防止に努めることはもちろんであるが、その後の対処によっては事業所への信頼に大きく影響する。これらの経験を通して事故状況はもちろん、訪問日時、電話日時、それらの内容、第3者の反応、訴えの変化等を記録に残しておくのは必須であると痛感した。<BR>【まとめ】通常表面上には出てこないが、非常に重要な課題である事故後の対処法によって報告した。訪問や通所では利用者と距離感が近いだけに、これまでのサービス姿勢を貫き、スムーズな誠意ある対応ができるよう一助になれば幸いである。