著者
鹿島 剛
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々は脊髄性筋萎縮症患者由来の繊維芽細胞を使ってこの疾患の原因タンパク質であるSMNタンパク質の発現調節について研究を続けてきた。その結果、RNA結合タンパク質のhnRNP A2がSMNタンパク質の翻訳のレベルでの調節に密接に関与しており、SMNタンパク質の安定的継続的発現にはA2が不可欠であることが解った。このA2タンパク質は最近、同じ運動神経を侵す筋萎縮性側索硬化症に於いてその変異が見つかっており、我々の発見は脊髄性筋萎縮症に於けるSMNの発現の調節を介した神経細胞での役割を理解するうえで重要な意味を持つ。更に、筋萎縮性側索硬化症の発症のメカニズムに於いてのSMNの重要な役割が示唆される。
著者
鹿島 剛
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

SMN1遺伝子の発現が不活化されている脊髄性筋萎縮症SMA由来の線維芽細胞にRNA結合蛋白質hnRNP A2に対するRNA干渉を施すとSMNの産生量が減少する現象を見つけた。この作用機序は,SMN2遺伝子の翻訳レベルでの調節であることが解析できた。この事は,SMN2とA2による分子間相互作用が新たな分子標的として,創薬のターゲットとして今後の研究対象になることを示唆している。