著者
麦山 真純
出版者
日本精神保健看護学会
雑誌
日本精神保健看護学会誌 (ISSN:09180621)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.1-8, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
30

本研究は,文献レビューを通して摂食障害を持つ者のリカバリープロセスを考察することを目的とした.システマティックレビューにより,摂食障害のリカバリープロセスに関連する文献16件を対象に,「研究年」「研究対象者」「研究方法」の概要と,文献内容における共通点をまとめた.その結果,「リカバリーのプロセス」「リカバリーのプロセス内の要素」に分類された.リカバリーを語る内容から,摂食障害を持つ者のリカバリーは,摂食障害を持ちながらも語れない時期から摂食障害を病いと認識し,現在の体験として語る時期を経て,摂食障害の体験を過去のものとして語る時期をたどるプロセスであると考えられた.そして,摂食障害の体験を過去のものとして語ることは,他者から認められる体験に繋がり,自己を受け入れることができた体験であると考えられた.また,摂食障害を持つ者が他者からの受容と自己を受容することは,リカバリープロセスのターニングポイントと示唆された.