著者
富永 隆治 吉利 用和 麻生 俊英 益田 宗孝 河野 博之 木下 和孝 川内 義人 田中 二郎 徳永 皓一
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.19-22, 1987

症例は65才男性。心筋梗塞発症9時間後に心室中隔穿孔を併発、ショック状態に陥いる。このため昭和60年10月7日、緊急手術を施行した。中隔穿孔部パッチ閉鎖、自由壁梗塞部切除、パッチ形成術を施行。再灌流後、心拍動微弱で人工心肺よりの離脱は全く不可能と判断、LVADポンプを縫着(右側左房、上行大動脈)、PBP駆動装置に接続した。LVAD装置により人工心肺よりの離脱は容易であった。PBP駆動装置は58時間使用、この間心電図トリガーミスがあり、LVADが一時停止、back up機構の必要性を痛感したが、LVAD作動そのものは良好で充分使用可能であった。術後16日目にLVADを除去したが両心不全、感染、多臓器不全にて失った。剖検では、LVAD systemに血栓を認めなかったが、ヘパリン使用に関わらず左室内パッチを中心に多量の血栓形成を認め、より厳重な抗凝固療法を要すると考えられた。