著者
麻生 幸則 西ノ首 英之
出版者
長崎大学水産学部
雑誌
長崎大学水産学部研究報告 (ISSN:05471427)
巻号頁・発行日
no.28, pp.219-225, 1969-12

高度に機械化された荷役装備をもつ商船でも,荷役作業に75%の能力しか発揮出来ないと云われている.魚荷役中には色々な「もたつき」が存在していて,漁船の荷役能力は50%,甚しいのは20%程度になる場合があるそうである.本調査資料から,長崎魚市場における魚揚荷役の「もたつき」については,次のように云えると思う. (1) 艙内氷中の魚(魚箱)の堀出し,ウインチ操作,選別,秤量等によるもたつきがあったが,これらは,人為的で,ある程度の熟練により最少限に食いとめうるけれども,全く取除いてしまうことの出来ないものである。 (2) 平素の整備の不良による機関や荷役機器の故障によるもたつき,小型船に多いと思われるが,日常の心がけによって解決出来ると信ずる。 (3) 自然条件によるもたつき,大型船では左程問題とならないが,50屯以下程度の漁船運搬船第三魚舎岸壁で低潮時揚荷役は困難である。長崎魚市は長崎湾港の最奥地に位するため大潮時天象海象により,所謂アビキ現象を生じ,4米近い干満の差を見せるそうである。このもたつきは不可抗力である.尚,第一魚舎における手繰船揚荷役は7米のスラットコンベアを橋渡しにして接岸するが,傾斜によるスラットコンベアの速度に変化がみられないので,干満による荷役作業に大差はない.