- 著者
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田上 早苗
麻生 忠二
- 出版者
- 公益社団法人 高分子学会
- 雑誌
- 高分子化學 (ISSN:00232556)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.308, pp.922-928, 1970-12-25 (Released:2010-09-28)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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2
5
11種の置換ベンズアルデヒド (M2) とスチレン (M1) とのカチオン共重合を, 主としてトルエンを溶媒とし, BF3OEt2を触媒として0℃で行なった。 置換ベンズアルデヒドとしては, オルト置換ベンズアルデヒド (置換基: メトキシ基, クロル基, ニトロ基, ヒドロキシ基) ・メタ置換ベンズアルデヒド (置換基: ニトロ基, ホルミル基) ・パラ置換ベンズアルデヒド (置換基: メトキシ基, メチル基, クロル基, ニトロ基, ホルミル基) を用いた。 これらの共重合では, すべて50mol%以下のアルデヒド単位が含まれるポリエーテルが生成した。 たとえば, p-メトキシベンズアルデヒドおよびp-クロルベンズアルデヒドとスチレンとの共重合での, Mayo-Lewisの微分交点法によって決めた単量体反応性比MRRは, 次のようである。スチレンーp-メトキシベンズアルデヒド:r1=0.10±0.002, r2=0±0.01スチレンーp-クロルベンズアルデヒド:r1=0.45±0.08, r2=0±0.02また, これらの共重合条件下での, 置換ベンズアルデヒドの単独重合は困難であるので, この方法によらずr2=0と仮定して, 新たな方法で, それぞれの共重合の値を算出した。 パラ置換ベンズアルデヒドのスチリルカチオン (M1+) への相対反応性 (1/r1) は, 置換基の電気的効果あるいは, カルボニル酸素の塩基性に依存することが明らかになった, オルト置換ベンズアルデヒドにおいても, r1値は相当するパラ異性体とほぼ同じであり, メトキシ基, クロル基, ニトロ基などの置換基の立体障害によるr1値への影響は, それほど重要でなく, 主として置換基の電気的効果によって, 反応性が定まることが明らかになった。