著者
黄 昌弘 弓立 達夫
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.244-248, 2009 (Released:2010-08-22)
参考文献数
15

慢性的な精神興奮症状の抑制に効果の期待できる抑肝散加陳皮半夏のアトピー性皮膚炎(以下AD)に対する臨床的有用性を検討した。対象は外来AD患者のうち,易疲労感などを伴う虚弱体質の患者で神経のたかぶる患者25名であった。被験薬はクラシエ抑肝散加陳皮半夏エキス細粒であり,原則6週間内服させた。漢方医学的所見,かゆみ・イライラについてのVAS所見,Skindex16の所見のいずれの評価においても投与前後で統計学的に有意な改善効果が認められた。抑肝散加陳皮半夏は精神症状を抑制することにより痒みおよび皮膚特異的QOLを改善させる薬剤であると思われた。