著者
森山 真吾 黄 鼎文 Kriengkrai Sittidilokratna Bahiyah Abdullah 常盤 紫野 宮原 夏子 清水 幸子 野村 昌良
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.137-144, 2017-07-20 (Released:2018-07-20)
参考文献数
34
被引用文献数
4

(目的) 骨盤臓器脱に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic sacrocolpopexy:LSC)について,当院における安全性および治療効果について検討した. (対象と方法) 2013年1月から2016年3月までに骨盤臓器脱に対してLSCを行った505例を対象とした.全例に前後2枚のポリプロピレンメッシュを使用し,前後腟壁を遠位端まで剥離,メッシュ固定する術式で行った.安全性を手術時間,出血量および周術期合併症,治療効果を解剖学的再発率(POP-Q stage≧II)および再手術率で評価した.また,再発率に関わるリスク因子を多変量解析を用いて検討した. (結果) 手術時間,出血量の平均はそれぞれ236分,27.2mlであった.また,周術期合併症を13例(2.6%)に認め,Clavien grade IIIa以上の術後合併症は5例(1.0%)であった.観察期間中央値12カ月において,解剖学的再発を40例(8.0%)に認め,stage≧IIIは6例(1.2%),再手術を5例(1.0%)に施行した.多変量解析では術前POP-Q stage IVが解剖学的再発の独立したリスク因子であった. (結論) LSCは,比較的合併症が少なく,かつ,stage III以上の再発や再手術を要する症例も少ないことから,安全で治療効果の高い術式と考えられた.